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  • 読書日記 (2007-071) 『ためらいの倫理学』 内田樹(著)

    Filed under 読書
    8月 11

    ためらいの倫理学―戦争・性・物語 (角川文庫)

    内田 樹


    4043707010


     

    『おじさん的思考』『寝ながら学べる構造主義』がベストセラーとなった思想界の「正しいおじさん」の原点。ためらい逡巡する精神にこそ意味がある。内田思想の中核をなす最重要本がついに文庫化。—ということで買ってみました。常々Blogも読ませてもらっていて、自分はファンのつもりだったんだけど、この本読んでませんでした。つか、Blogばっか読んでて、書物は今年になって読み始めたかも。

    面白いポイントや僕が「そうそう!そうなんだよね」と我が意を得たりだったポイントはいくつもある。例えばp.212。ちょっと長いけど引用。

     

    宮台(真司)は「知っている」ということで自らの知的威信を基礎づけている。「知っている」ということが知的人間の基本的な語り口であるとたぶん思っている。

    ところが、私はそういうふうに考えることができない。

    「私には分からない」というのが、知性の基本的な構えであると私は思っているからである。「私には分からない」「だから分かりたい」「だから調べる、考える」「なんだか分かったような気になった」「でも、何だかますます分からなくなってきたような気がする・・・」と螺旋状態にぐるぐる回っているばかりで、どうにもあまりパッとしないというのが知性のいちばん誠実な様態ではないかと私は思っているのである。

     

    なお、同じようなことをフェミニズムの項で宮崎哲弥に対しても言っている。それにしてもこれ、まさしくその通りだよなぁ。自分がバカで何も知らないってことに自覚的でないのは、知性的だとは言えませんね、普通。しかしこれは宮台や宮崎だけではないね。評論家も政治家も、自分が100%正しいって前提で議論しちゃう。



    今回付箋貼ったりページ折ったりするのをなぜか忘れて読んでいたためこれ以上引用しながらの紹介はできません(汗) じゃもうひとつだけ。p.223より。

     

    マルクス主義者もフェミニストもポストモダニストも、それぞれの仕方で知的にも倫理的にも誠実であることを私は認める。(中略)

    しかし、彼らはあまりに「審問」という身ぶりに固着してはいないだろうか。ブルジョワジーを、男権主義者を、植民地主義を、彼らは鮮やかに審問する。そして、そのように審問するおのれ自身の権力性まで、ちゃんと審問するのを忘れない。完璧だ。

    でも、「審問する」を究極の動詞とする言説は、私にはどうしても息苦しく感じられてならない。誰かを告発し、断罪し、弾劾するということは、そんなに素晴らしいことなのだろうか。(中略)

    正義への気球は「不義によって苦しむ人々」の痛みを想像的に共感するところから始まる。だから、「審問」という攻撃的な振る舞いを動機付けたのは、本来は「憐憫」や「同情」という柔弱な感情であったはずだ。

     

    クリアカットなロジックで論敵を批判していたものが、いつしかその同じ武器で徹底的に痛めつけられることになる。そんな世の中は息苦しくてしょうがない。僕は常々、何か起こると悪いやつは100%悪いことになって、完膚無きまでに叩かれる、そういう風潮に違和感を表明してきた。この辺を読んで、あぁ、そうだよそういうことだよ、と納得したわけであります。

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2 Responses to “読書日記 (2007-071) 『ためらいの倫理学』 内田樹(著)”

  1. プロレスってなに?

  2. んむ、それは深い質問だな。
    しかし、このエントリとは全く関係ないぞ(笑)

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