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読書日記 (2007-060): 『狼少年のパラドクス―ウチダ式教育再生論』 内田樹 (著)
Filed under 読書6月 16狼少年のパラドクス―ウチダ式教育再生論
内田 樹
僕も愛読させていただいている、内田樹氏のブログからの文章を主に採録したもの。面白いところがたくさんあって全部は紹介し切れないので、読んだときに気になったところ(ページを折ってある)をランダムにいくつか紹介する。
- 「国民総六歳児」への道を粛々と歩む日本。
「責任者探し」をしても始まらない。「誰がこんなにしちゃったのかは知らないけれど、私はたまたま現場に居合わせてしまった。居合わせた以上は、私が何とかするしかない」と考える人たちを(たとえ少数でも)糾合して、手持ちの使える限りのリソースを総動員して、できる限りのことをするしかない。
氏と同じだけの覚悟と危機感を、僕を含め全ての教育に携わるものは抱けているだろうか?
- 日本の教育は「成功」している。
日本の教育の最優先の目的は「子どもたちを均質化すること」にあり、(中略)「みんなと同じであることを最優先に配慮し、みんなと違うことを心から恐怖する子ども」を作り出すシステムを徹底的に精緻化高度化してきた長年の努力の成果が今日のこの「世界一勉強しない子どもたち」なのである。
逆説的な物言いだけど、事実そうなんでしょう。じゃあ、逆の形の成功をすることも可能ってことじゃないか?ね。
- 就職活動は「時間割通り」にやりなさい。
いま、ここで果たすべく期待されている責務を放棄して、「次のチャンス」を求めてふらふらさまよい出て行くようなタイプの人間を私たちは社会人として「当てにする」ことができない。
全くもって仰る通り。「シューカツ」のメンタリティにはついていけない。予備校マニアの受験生も同じだな。
あんまり引用してると全部したくなっちゃうんで、このくらいで。
教育問題に一家言あると思ってて、居酒屋で「イマドキの教育はなっとらん!!」的に威勢よく拳を上げるような人ほど読んで欲しい。自分は真摯な気持ちでそれを言っているのか。自分に危害が及ばないからって高みから見下ろして言ってませんかい?
あ、あとどこぞの教育再生会議かなんかの連中にも読んでおいてもらいたいな。あの、何も勉強してなくて、自分には直接的に関係ないと思ってテキトーなことばかり言う人たちに。
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